@techreport{oai:grips.repo.nii.ac.jp:00000961, author = {大来, 洋一 and クルマナリエバ, エルビラ}, note = {我が国の貯蓄率が国際的にみて高いという状態は高度成長期が終った後もかなり長く続いていた。しかし、貯蓄率は、ライフサイクル仮説に従えば人口の高齢化によって低下していくはずである。ところが、国民経済計算旧系列では貯蓄率が90年代に「高止まり」する事態が生じていた。これに対して、いくつかの研究においては老後のリスクに対応する予備的貯蓄の増加が有力な説明要因と提示された。こうした研究を本稿ではいくつかサーベイする。///ところが国民経済計算が93SNAという新系列になると、1990年代の貯蓄率「高止まり」の傾向はなくなってしまい、貯蓄率は1992、93年頃の13%程度から最近では6%以下へと大きく下落した。にもかかわらず、老後の不安に関連する家計の予備的貯蓄が家計の行動にやはり影響を与えていることを本稿は明らかにした。すなわち、オイラー方程式を流動性制約と老後のリスクなどリスク要因で拡大したモデルを応用して、老後のリスクと貯蓄率の関係を確認した。///他方で、本稿の共和分(cointegration)分析による長期的関係でみると、社会保障基金の貯蓄は家計の貯蓄と代替的であるものと思われる。したがって、過去の長期の関係としては、社会保障の充実は貯蓄の減少、消費の増加につながるということになる。///しかし、これは社会保障に関する不安、裏をかえせば老後の生活に関する不安がないという条件が満たされている場合である。1990年代には、年金の将来に関する不安に強く結びつく保険料の引き上げがかなり頻繁に行われた。長期的関係としては、保険料の引き上げは、老後の生活に関する不確実性を減じて予備的貯蓄を減らすものであるという計測結果にもかかわらず、1990年代には人々の意識の中では老後生活に関する不確実性が増大し、「高止まり」という現象を通じてではないが貯蓄率に影響を与えていた。}, title = {貯蓄率と社会保障(年金)の関係についての実証分析} }